焼いて、返して、また焼いて。|勘介の記憶|京都割烹やなぎさわや 店主日記

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🍺 焼いて、返して、また焼いて。

先日、勘介の頃を思い出すような、あたたかいお言葉をいただきました。
その一言が、あの鉄板の音と湯気を、ふっと思い出させてくれました。

勘介、好きだったんです。
ありがたいことに、そう言ってもらえるんです。
「料理が美味しくて」「ビールも最高で」「スタッフさんが感じ良くて」って。
ほんと、そんなふうに覚えてもらえてるのが嬉しい。
ありがとうございます。

でも正直、当時は毎日がいっぱいいっぱいでした。
朝から仕入れして、仕込みして、営業して、閉店してからサーバー洗って。
また次の日も同じこと。
ただ“今日の分をちゃんとやる”って、それしか考えてなかった気がします。

「お客さんにちゃんとできてたんだろうか」
そう思う夜も、いっぱいありました。


そういえば、地鶏にこだわってた時期もありました。
「いい素材使えば、もっと喜んでもらえるやろ」って思って。
でもね、これがまた失敗続きで。

軟骨の唐揚げを地鶏でやったら、もう硬いのなんの。
キシキシして、噛むたびに“うわっ”て顔されて。
仕入れ値は高いのに、味はイマイチ。

今治風の鉄板焼き鳥も、うまいけど高い肉のありがたみが全然出なくてね。
あぁ、これはちゃうなって思いました。

そこからかな。
“高い肉より、ちゃんと美味くて腹いっぱい”の方が喜ばれるって気づいたのは。
あれが、勘介の「ボリューム推し」の原点だったのかもしれません。


焼鳥の塩焼き、褒めてくれる人が多いけど、
ほんま普通のモモ肉なんですよ。
塩とコショーもスーパーのやつ。

でも、焼く前と焼いた後で塩を振り分けるのは気にしてました。
皮の水分の出方が違うから。
振る高さとか、手の角度とかもね。
順手で振るか、逆手で振るかで全然違うんです。

そんなの、今思えばどうでもいいことかもしれんけど、
その“どうでもいいこと”をずっと気にしてたんですよね。


たぶんね、
それでもやっぱり、特別なことなんて
やってなかったように思うんですよね。

鉄板の前に立って、
焼いて、返して、また焼いて。
そんな毎日でした。

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