静かな朝と、人の輪がつながる一日。|京都割烹やなぎさわや公式ブログ

日記

静かな朝と、人の輪がつながる一日。

朝の厨房から夜の街まで──。
ひとつひとつの仕事の中に、人の温度とつながりを感じた一日でした。

🌅 朝4時の厨房より(砥部町・大南へのお届け準備)

脂がにじむ焼きたての鮭。火加減ひとつで味が変わります。

朝4時。厨房の窓の外は、まだ真っ暗。
焼きたての魚の香りがふわりと広がる。
パチッと弾ける音と、脂の甘い匂い。
その重なった瞬間が、ちょうどいい焼き加減の合図です。

脂がじゅわっと滲み、皮が黄金色に変わっていく。
奥では、ご飯が炊きあがる音。

今日は少し早く、砥部町・大南へのお届け。
時間との勝負になる朝でした。

段取りを頭で追いながら、手は止めずに動かす。
焼き加減を迷うたび、少し火を遠ざけたり、戻したり。
「急がんと間に合わん」と思いながらも、
結局、最後まで火を見てしまう。

焦りと慎重のあいだを行ったり来たりしながら、
いつも通り魚を焼き終われました。
誰かの「おいしい」の一言を思い浮かべると、
疲れが少しだけ軽くなる。
今日もまた、静かで慌ただしい一日の始まりです。


🍱 松山市・余戸でのご法要お届けより

懐石仕立て〈和雅〉。ご法要の席にも喜ばれる上品な一折。

昨日のお昼前。厨房の片付けをしていると、
松山市・余戸へお届けしたお客様から、一通のメッセージをいただきました。

「フタを開けた瞬間、みんなの顔がぱっと明るくなりました」
「楽しいひと時を、ありがとうございました」
「大変、美味しかったです」

その言葉を読んだ瞬間、朝に焼いた魚の香りがふっとよみがえりました。
あの焼き色も、盛りつけの時間も、この笑顔のためにあったんだなと思っていたら、
スタッフから「何か良いことありました?顔がニヤニヤしてますよ」と声をかけられました。

思わず笑ってしまいましたが、たしかに、ちょっと嬉しかったです。
今回お届けしたのは、懐石仕立ての〈和雅(わみやび)〉。
上品でやわらかく、それでいて食べ応えのある一折です。
お肉もお魚も、手まり寿司も、ご年配の方からお子さままで食べやすく整えています。

ご法要やご家族のお集まりなど、人数や会場に合わせて丁寧にお作りいたします。
前日相談もお気軽にどうぞ。


🌙 ご縁がつながる夜に

松山市民会館前の並木道。イチョウが少しずつ色づき始めています。

一日の終わりに、ふと空を見上げました。
松山市民会館のそばで、最後のお届けを終えた帰り道。
並木道のイチョウが、少しずつ金色に変わっていました。

昼間の熱がまだ残る空気の中に、やわらかい風が流れていて、
「あぁ、今日も一日よく動いたなぁ」と思わず息をつきました。

朝は、先代と過ごした厨房の記憶をたどりながら、唐揚げを揚げました。
火加減が少し違うだけで、味が変わる。
そんなことを、今でも何度も確かめています。

昼には、松山市内の職場やご家庭へ、仕出しとお弁当をお届け。
「いただきます✨」その一言と笑顔を見られたとき、
「よし、やっててよかった」と心の中でつぶやきました。

包丁の音、出汁の香り、油のはぜる音。
それぞれの場所で積み重ねた仕事が、
この静かな夜に、やさしく整っていく気がします。

ほんの少し空を見上げるだけで、今日の疲れがすっと軽くなる。
──そんな瞬間が、この仕事の中でいちばん好きです。

明日もまた、ひとつひとつのお弁当に、
“懐かしさ”ではなく、“今の美味しさ”を込めて。


📍 松山市・砥部町・伊予市・東温市・松前町 配達対応
📸 朝・昼・夜、それぞれの場所で重ねた「整う料理」の一日。

今日も一日、本当にありがとうございました。
そして、いつも見守ってくださる皆さまへ──心から感謝いたします。

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