まぐろの赤と、いかの白。──仕出し折詰に残る文化のかたち。

法事・法要

まぐろの赤と、いかの白。──仕出し折詰に残る文化のかたち。

松山では、仕出し折詰にお刺身を添える文化が今も残っています。
まぐろの赤と、いかの白。
おもてなしの席では、この二色が並ぶと、場がすっと整うように感じます。

昔から法要やお祝いの席では、折詰にお刺身が入っていることが“もてなしの証”でした。
赤はまぐろ、白はいか。
この組み合わせが当たり前のように受け継がれてきたのは、料理で想いを伝える文化が、松山の暮らしの中に根づいていたからです。

今朝の厨房では、まだ外が暗いうちから、笹の香りが立ち上る中で包丁の音が響いていました。
折詰の一角に、赤と白をそっと置く。
ほんの数秒のことですが、その間だけ空気が変わります。

夕方、ひと息ついたころに、
「みんな喜んでました」と一言をいただきました。
その声を思い出しながら、片づけをしていました。

ご法要やおもてなしの席に。
松山・東温・伊予・砥部・松前へ配達いたします。
ご予約は2日前まで。

今夜も、片づけをしながら思うのです。
まぐろの赤と、いかの白。
この色を、次の季節にも手渡せるように。
一折ずつ、明日も仕込みを続けます。

写真:「赤と白を添える。それが、松山のおもてなし。」

文・写真|福島正幸(京都割烹やなぎさわや)


タイトルとURLをコピーしました