〈花響〉刺身篇|赤と白がそろう一折は、礼が伝わる
折詰のふたを開けた瞬間、赤と白が並びます。
マグロの赤身とイカの白。
この二色には、昔から“礼の心”が込められています。
〈花響〉の刺身は、その想いを一折に映した仕立てです。
ふたを開けた瞬間、ふわりと立つ香り
折詰の仕込みで、刺身の赤身とイカを並べる時間。
二つの色を並べると、台の上が一段明るく見えてきます。
赤は誠意と生命、白は清めと安らぎ。
祝いの席でも、法要の席でも、この二色がそろうことが“おもてなしの証”。
昔からその組み合わせに、感謝と礼の心が込められています。
マグロは、豊洲のYさんが選んでくれたもの。
光に透かすと、深い紅が包丁に映り、
横に並ぶイカの白がそれをやさしく受け止めます。
ふたを開けた瞬間、ふわりと立つ香り。
その一呼吸の中に、仕立てた人の心が映るようでした。
一口ごとの食感と味の重なり
赤身は厚すぎない一口サイズで。
舌にすっと乗り、噛むとしなやかにほぐれます。
脂の重さよりも、旨みの余韻が長く残るように仕立てています。
隣に並ぶイカは、歯を入れると軽く弾み、
舌にネットリとからみます。
旨みがにじみ、やわらかくほどけていきます。
赤身の力強さと、イカのやわらかな甘み。
味わうたびに、もう一口が自然に欲しくなります。
一切れを箸で取ると、光が赤と白の境に反射します。
その瞬間に感じるわずかな抵抗。
そこから旨みが滲み出て、舌の上に海の香りが立ちます。
その一口に、豊洲の仲卸とやり取りを重ねる
Yさんの目と、職人の手仕事が生きています。
